生存戦略

コンセプトのある家 「何でもやります」は何もできませんと同義

今回は家のコンセプトについて。

 

「どんなスタイルの家でもお任せください」という住宅関係の広告を目にすることがあると思いますが、小規模な地域工務店がこのやり方で成功する確率は極めて低いです

 

「どんなスタイルでもできる」ということは「これと言った特徴が無い」のと同義だからです。

 

人員、資金力、知名度、全てに乏しい工務店の家づくりで「特徴」まで無くしてしまうともはや戦う術がありません。

 

そこで家づくりのコンセプトを持つことが重要になります。

では、どんなコンセプトを持つべきなのでしょうか。

 

 

基本の3要素は断熱・気密・構造

家づくりのコンセプトはとがっている方がお客さんの記憶に残りやすくなります。

 

ただし、何事にも必ず抑えておかないといけないポイントというものが存在します。

家づくりのコンセプトで言えば「断熱・気密・耐震」の3要素です。

 

「断熱・気密」の2つは家の住み心地を大きく左右します。

家は長く使うものなので、毎日の住み心地の良し悪しはそのまま家の満足度に直結します。

工務店の仕事は特に新築において「リピーター」というものがほぼ存在しませんが、その分紹介という形で新規客を獲得することがあります。

満足度の低いお客さんから紹介をもらえる確率はゼロどころかマイナスにさえなり得ます

現在のレベルが以下の基準を下回る場合は、直ちに性能を引き上げましょう。

 

断熱・気密において達成すべき具体的数値

Ua値=0.45以下(5〜6地域想定)

C値=1.5以下

 

どちらも本気で取り組みさえすれば、それほど難しくない数値です。

また住み心地に明確な変化が感じられるラインでもあります。

 

次に「耐震」ですが、木造の場合は耐震等級3を取得しましょう。

許容応力度計算による等級3であれば万全ですが、品確法の計算でも十分な余力を持てば大丈夫です。

耐震性の重要性は今更説く必要も無いと思いますが、工務店やその責任者、あるいは担当者がきちんと理解し、正確な知識を持っているかどうかはまだまだバラつきがあります。等級1でも十分だという人すらいまだにいるようですし、等級2に制振ダンパーがあれば等級3は不要などという意見もあります。

 

以下は熊本の震災被害を中心に耐震性能についてまとめた記事です。

よろしければご参考ください。

参考耐震基準の勘違い 法律通りなのに耐震性が不足する?

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ここでは諸説に惑わされず、自分なりの考えを持つことが大切です。

きちんと地震被害の状況を整理し、理解していくと必ず耐震等級3が必須であるという結論に達しますので、今の時点では「そういうものなんだなぁ」といった感覚で鵜呑みにしておきましょう。

 

最後の1つは自由に決める

「断熱・気密・耐震」の3つのコンセプトは大切ですが、これだけでは足りません。

上記の3要素だけでは工務店としての色が出ないからです。

 

最後の1つは自分で決める必要があります。

 

注意点は「範囲の広いコンセプトを避ける」ということです。

例えば「デザイン」にしてしまうと、結局どんなデザインでもしますという結果になり、ふりだしに戻ってしまいます。

 

そこで範囲を絞る必要があります。

例えば「デザイン+北欧」「デザイン+自然素材」「デザイン+ミニマルライフ」というように、具体的なワードと組み合わせるのがオススメです。

 

範囲を絞った方が後々ブレにくく、お客さんもコンセプトから完成形が想像しやすくなります。

一応同じ商圏に似たようなコンセプトの工務店が無いかどうかチェックしておきましょう。

 

また、コンセプトは人に共感されるものでなくてはいけません。

コンセプトを定める意義は他者との差別化ですから、魅力的であるべきなのです。

 

まずは自分自身がそのコンセプトを好きになれるかどうか見極めましょう。

なんとなくお客さんウケは良さそうだけど自分は好きじゃないといったコンセプトは長続きしません

 

自分が好きになれて、さらにお客さんからの共感が得られるようなコンセプトにしましょう。

 

コンセプトは例外を作らない

一度コンセプトを定めた後は、実際に建てる家がそのコンセプトに沿っていないといけません。

切なのは例外を作らないことです

 

この家はコンセプトの通り高い断熱性能を確保したけど、別の家ではコストの都合で断熱性能を下げるなどといった例外が横行すると、結局なんでもできます(=なんにもできません)という家づくりに戻ってしまいます。

 

例外を作らずに淡々と実績を積み重ねていくことに注力しましょう。

 

まとめ

今回は家のコンセプトについてまとめました。

 

どういう方向性の家づくりをしていくのかという点は、工務店の生存戦略を考える上で最も大切な事柄の一つです。

 

それにより会社の体制、必要な人員、求められる設備や技術などが変わります。

また、コンセプトが異なれば惹きつけられるお客さんの年齢層、家族構成、好みの方向性もガラッと変わります。

 

工務店にとってアイデンティティと言えるようなコンセプト作りは、長く生存できる会社運営を考える上で必ず必要となります。

 

必ずしも自分自身で生み出す必要はありません。

十分に共感できるものであれば、先代が打ち出したコンセプトをそのまま引き継いだって良いのです。

 

「何でもやります」から「これしかやれませんが、その方向性であれば地域で一番です」という工務店に生まれ変わりましょう。

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