構造の話

柱の直下率 家を建てる際にセルフチェックしてみよう

 

今回は「直下率」についてのお話。

 

このワード、建築をやっていない方はもちろん、やっている方でもあまり馴染みが無いかもしれません。

 

建築基準法や品確法にも特に規定は無いので見過ごされがちな項目ですが、たび重なる巨大地震による木造建築物への被害状況の研究が進み、近年注目され始めました。

 

簡単に言えば、建物の上階の柱の真下に下階の柱が存在している割合のことです。

 

2階の柱が20本存在する建物があったして、その柱の真下に1階の柱が20箇所全て存在していれば直下率は100%です。

 

あれ?

上の柱の下に下の柱があるって普通じゃないの?

 

そう思われる方も多いことでしょう。

 

でも、木造二階建てでは直下率が無視、あるいは軽視されていることが非常に多いのです。

 

なるべく専門用語を使わずに解説しますので、ぜひ最後まで記事を読んでみてください。

 

目次

直下率はなぜ重要?

直下率が高い建物は以下のようなメリットがあります。

直下率が高い場合のメリット

  • 構造が安定する
  • 地震で生じる横揺れのエネルギーを地面へ伝えやすい
  • 地震の際にダメージを受けにくい
  • 想定以上の震災においても倒壊しにくい
  • 見た目に美しい

 

柱の下にきちんと柱があるという建物は、構造的に安定します。

 

当たり前の真理ですが、木造2階建ての多くの家でこのルールが軽視されていることについてはあまり知られていません。

 

大規模な建築物のように倒壊することで多くの人が被害を被るわけではないので、ある程度甘めの基準にしておきましょうという考えに基づいています。

 

昔であれば間取りも画一的でしたから、基準が甘くてもそれほど問題はありませんでした。

 

しかし、近年では広々としたLDK空間が好まれるようになり、空間のつながりや動線を重視する風潮が強まったことで1階の柱が減少しています

 

結果、柱の直下率は低下する傾向にあるのです。

 

直下率が低下すると、どんなことになるのかしら?

 

次章では直下率が低くなることで想定される構造の弱体化について解説します。

 

直下率が低いとエネルギーが伝わらない

柱は建物の垂直方向の荷重を支えています。

 

かし、直下率が低い建物の場合、荷重は素直に下へ伝わりません。

 

柱の下に柱が無いので、一旦梁などの横方向の材が荷重を受けて、その両端の柱へと伝えわります。

 

荷重が分散するという点で、一概に悪いことではないのですが、問題は次の点です。

 

2階建ての建物で「直下率が低い」ということは、1階の柱が少ないということとほぼ同義なのです。

 

柱の数が少なくなればなるほど、1本の柱が負担する荷重は増加します。

 

私たちも2本の足で立たないと、自分の重さを十分に支えられません。

 

一度、片足でスクワットをしてみてください。

 

ムキムキマッチョの方以外は2〜3回でギブアップされることと思います。

 

なぜきついかというと、全体重が1本の足に集中するからです。

 

ただでさえ荷重が集中しているところに地震などで強い横揺れを受けると、そのエネルギーは数倍に膨れ上がります。

 

膨れ上がったエネルギーを素早く地面に伝えることができず、揺れの力をまともに受けることになり、その過大な負荷によって構造が大きくダメージを受けてしまうことになるのです。

 

 

直下率の計算方法と目安

直下率の求め方は図面さえあれば簡単です。

 

まず、1階と2階の平面図を用意しましょう。

 

柱の位置を示した図をご用意くださいね。

 

直下率の計算方法

  • (A)2階の柱の数を数える
  • (B)2階の柱の真下に1階の柱が存在している箇所を数える
  • (B)の数を(A)で割る

 

とっても簡単ね!

 

目安として、直下率の割合は最低でも50%を超えていないと十分とは言えません

 

できれば70〜80%くらいの直下率があれば理想的だと言えます。

 

また、注意点として、直下率はあくまで構造を検討する際のプラスアルファの部分です。

 

建築基準法で定められている耐力壁などの規定を十分に満たした上で直下率も高いという構造でなければ効果は得られません。

 

基本的な耐震性は耐震等級3を取得するなどで、きちんとした性能を確保しましょう。

 

直下率の高い建物は見た目にも美しい

これはあくまでオマケの要素ですが、直下率が高いと1階と2階の柱の位置が揃います

 

建物の凹凸が基本的に少なくなるため、見た目にシンプルな形状となります。

 

また、柱の位置が上下階で揃っているということは、開口部(窓)の位置や幅も揃うことになります。

 

好みはあると思いますが、開口部の形状や上下の位置が揃っていると見た目が整然と整い、端正な外観となります。

 

まさに機能美ね!

 

まとめ

今回は直下率について解説しました。

 

直下率が低い建物は耐力壁などの数が足りている場合でも、地震の際に大きなダメージを受ける可能性があります。

 

直下率は「2階の柱の数÷2階の柱の下に1階の柱が存在している数」で求められます。

 

最低50%、できれば70%以上あると安心です。

 

木造2階建ての建物は構造計算が義務付けられておらず、震災のダメージによって倒壊は免れたとしても住めなくなってしまうリスクを抱えています。

 

安心できる家は自ら作るつもりで学んでいきましょう。

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